第23章

客人がこのように予告なしに訪れることはない。主人の招待か事前の連絡があるのが常だ。ロイド家は既に口実を用意しており、王都の友人からの招待状を受けたと主張した。しかし誰もこれを信じない。特に最近スキャンダルを起こしたフレイヤ・ロイド嬢は、新進気鋭の痴女も同然。王都で多少なりとも体面を気にする者なら彼女らと関わりを持たない。人々の笑い物になりに来たのか？もちろん違う。

そこで子爵は男爵に手紙を送った。内容は概ねこうだ。「親愛なる甥よ、我々の王都の住居は長く空き家だったため荒れ果て、現在修繕中。可哀想な親戚を一時的に受け入れてくれまいか？不幸な叔母と従妹たちを前に、『ノー』と言える紳士がいるだろうか？ましてや血縁の間柄だ」

結局、オースティンは彼らを丁重に迎え、「お好きなだけお泊まりください」と社交辞令も述べた。この期間、私は子爵一家の醜い本性をほとんど忘れかけていた。

ロイド子爵は妻と娘たちを連れ、堂々とマイルズ荘に入居した。私の怒りは言葉にならなかった。前世で彼らがオースティンを殺した後、勝利者のようにこの荘で威張り散らした光景が、絶えず脳裏に浮かんだからだ。

城館の広間で、フレイヤは花の蝶のように舞い踊りながら歩き回った。客間の美しい彫刻、壁画、そして高価な家具や装飾品に彼女は大喜びだった。「ここは本当に素敵！マイルズ荘がこんなに魅力的だなんて、抗いがたいわ。永遠にここに住めたらいいのに」と大げさに言った。

彼女たちはオースティンの裕福さを知ってはいたが、ここまでの富には驚いた。羨望の眼差しは次第に貪欲に変わり、彼女たちは抜け目のない商人のように、周囲を微笑みながら眺め、それぞれの価値を計算しているようだった。

婦人たちの視線は一斉に男爵へ注がれた。ローレンは優しく囁くように言った。「本当にありがとうございます、男爵様。私たちに住まいを提供してくださるなんて、大変助かります」

男爵は答えた。「とんでもない、ローレン従妹。ここを気に入ってくれて光栄です。どうぞ快適にお過ごしください」

ロイド子爵は大声で笑った。「もちろん、もちろん！我々は元々親戚同士、もっと頻繁に行き来すべきだった」

私が子爵一家にお茶を運んだ時、ローレンは優しく微笑んだ。「トーカー、ご無沙汰です。男爵様のところでお元気ですか？妹のジャスミンはよくあなたのことを話していました。家族みんながあなたを恋しがっているそうです。今回彼女も同行しています。後で会いに行けますよ」

「ありがとうございます、ローレン・ロイド様。私も家族のことがとても恋しいです」私は俯きながら答えた。

「はっ、あなたの側にいる新しいメイドがトーカーの妹だったのね……」フレイヤは突然冷たい笑いを漏らした。

ローレンは微笑み、姉の皮肉たっぷりのからかいを全く気に留めていないようで、静かに言った。「ジャスミンは良い子よ、勤勉で優しいし、私は彼女がとても気に入っているわ」

「そう？田舎からわざわざ連れてきた野良娘か、どうやらあなたの趣味も大したことないわね」フレイヤは一歩も引かなかった。

「まあ！私たちずいぶん疲れましたから、少し休ませていただきます、失礼いたします」子爵夫人が立ち上がり、姉妹の争いを遮った。

数人の女性たちが階上へ上がるのを見送った後、私はこっそり客間を出て、使用人の休憩室へ向かった。「ロイド子爵」はまるで荘園の半分の人々を連れてきたようで、彼は元々面倒を厭わず、自分の威光を示すためなら何でもする男だった。借金で見栄を張っていなければ、この威光は確かに称賛に値するものだったが。

ローズは陽気に私を抱きしめた。「親友よ、やはり成功したな、今では男爵様の側近だ」

「お前も悪くない」私は彼の胸を軽く叩いた。この小僧はもう上級使用人になっていた。

私は会話の機会を利用してベイカー荘の状況を探った。ローズは小声で言った。「子爵様は多くの使用人を解雇したんだ、リズベスまで追い出された。子爵様が大金を借りたらしく、銀行がよく取り立てに来ているそうだ」彼は私に尋ねた。「君は男爵様の側で仕えているから、ご意向を知っているか？どこかのお嬢様と結婚される予定は？もしそうなら、子爵様を助けられるかもしれない、さもなければベイカー荘は破産だ」

私は見せかけで首を振った。「男爵様はいつも無口で、何を考えているか誰にもわからないのは君も知っているだろう」

ローズは狡そうに笑い、言った。「お前さんはいい女運だな、ゼラがよろしく言ってたぞ……」

ゼラ……彼女はまだ私のことを忘れられていないのか……

夕食時、二女と三女はそれぞれ男爵の左右に座っていた。一年前と比べて、フレイヤの男爵への態度はまるで別人のようだった。「彼女は話題を次々と提供し、面白い話をして男爵の興味を引こうとした。」

「あの老婆はまるでバルザック小説の守銭奴みたいだったわ。どうなったと思う？彼女は同じドレスを20年間も着続けながら、貴重な生地をクローゼットにしまい込んでいたの。そして再び開けた時には、生地は虫に食われて穴だらけ……あら……」フレイヤは扇子を大げさに振り、「最も驚いたのは、彼女がその穴だらけの生地を取り出して、娘たちに新しいドレスを作らせ、そのドレスを着てパーティーに行かせたことよ」

「まあ、信じられない……」子爵夫人は扇子で口を隠し、軽く揺らしてから、さりげなく男爵の方を指した。

その時、フレイヤは男爵が全く発言しておらず、彼女の楽しい話題にも興味を示していないことに気づいた。彼女の表情は一瞬曇り、やがて滔々と続けていたパフォーマンスを止めた。

ローレンは軽く口元を上げ、優しく男爵に言った。「今夜の料理はとても素敵でした、こちらのシェフは素晴らしい方ですね」

男爵は微笑んで彼女に会釈した。「お気に召していただけて何よりです」

「ところで、お殿様はケント州で育たれたので、きっとそちらの名産、ウィラントソーセージがお好きでしょう」とローレンが言った。

「ええ」男爵は赤ワインを一口飲み、ゆったりと答えた。「確かに好きだ」

「私も大好きです、残念ながら今は夏で。秋なら、存分にこの美味しさを楽しめるのですが。グラン州の詩人がこのソーセージについて詩を書いていたのを覚えています、『海島頌』という題で、家のない人がさすらう様を……」

男爵は明らかに日常的な話題を好み、ローレンはそのポイントをうまく捉えていたが、フレイヤは不機嫌そうに傍観していた。

夕食後、私は2階の客室へ向かった。妹のジャスミンがここに滞在しており、ローレンもこの部屋の住人だった。

貴族のお嬢様として、ローレンには四人の付き人女中がいて、彼女たちは日夜お嬢様のそばに控えている。しかし今日は特別で、四人の女中がなんと部屋の入り口で待機していた。

ジャスミンは私が来るのを見ると、興奮して駆け寄り、首に抱きついてキスをした後、いたずらっぽくウィンクした。

その時、ローレンの部屋から激しい口論が聞こえてきた。「あなたが何をしたか知らないと思わないで、許さないわ！」フレイヤがヒステリックに叫んだ。

「何度説明すればいいの、帯のことは私じゃないわ。」ローレンは冷静に返した。

「この下賤女、私を失脚させて、私が手に入れられないものは、あなたも手に入れられないわ！」

私は入り口で盗み聞きを続けず、ジャスミンを連れて自分の寝室へ向かった。

「ここは本当に素敵ね。」ジャスミンは周りを見回し、「付き人男僕は地位が高いって聞いてたけど、やっぱりそうなのね。」

「ローレンは君に優しいか？」私は尋ねた。

ジャスミンは気にしない様子で頷き、「ローレンは私に優しいわ。どうやら彼女は本当に私を通じて男爵の情報を聞き出そうとしてるみたい。トーカー兄さん、男爵は彼女と結婚すると思う？」

「男爵の考えはわからないけど、君は彼が彼女と結婚してほしい？」私は尋ねた。

「まったく願ってないわ。」ジャスミンは鼻で笑った。「ローレンが男爵と結婚しようがしまいが、兄さんは将来の子爵の付き人男僕で、ひょっとしたらベイカー荘の執事になるかもしれない。その時には私を子爵夫人の付き人女中にしてもらえばいいだけ。ローレンなんてあの女を助ける必要なんてないわ。」

「さっきはローレンが君に優しいって言ってたじゃないか？どうしてすぐにあの女って呼ぶんだ？」私は尋ねた。

ジャスミンは目を見開き、容赦なく言った。「彼女はもちろんあの女よ。表向きは私に優しいけど、陰で女中たちに私をいじめさせて、それから救いの手を差し伸べて、私に感謝させようとしてるの。彼女は私を田舎のバカだと思ってるのかしら？」

私は思わず笑ってしまい、ジャスミンはローレンのことをさらに非難した。「ここに来る前、ローレンは私に銀のイヤリングをプレゼントして、遠回しに兄さんから情報を聞き出そうとしてたの。イヤリング一本で私が彼女を将来の子爵夫人にしようと手伝うと思ってるなんて、本当に笑けるわ！」

私たち兄妹は幼い頃から酒浸りの母と苦しい生活を送り、様々な人に対処するのに慣れていた。ジャスミンは特に機転が利き、9歳の時には酒屋から母に安い粗悪な酒をせしめ、妹と自分に食べ物をねだる方法を考え出していた。「ローレン」の女中相手のやり方はジャスミンには通用しなかった。

「じゃあ、彼女にどう対処するつもりなんだ？」私は興味深く尋ねた。

「もちろん、私は田舎から来たバカで鈍い娘のふりをするわ。水瓶も割っちゃうようなドジで。高貴なローレン・ロイド様は私に仕事を任せられず、兄さんと話す時間を増やすしかないわ。」ジャスミンは得意げに言った。「そういえば、ローレンとフレイヤはどちらもあの男爵と結婚したがってて、最近はすごく喧嘩してるの。フレイヤはどういうわけか、ローレンが自分をギャレット子爵から遠ざけたと確信してるみたい。」

私は頷き、「想像に難くないな。」ジャスミンはスカートをひるがえして一回転し、素敵な新しい革靴を見せた。彼女は笑いながら言った。「どう？きれいでしょ？自分で買ったって言ったけど、実はこれフレイヤがくれたの。彼女まで私に取り入ろうとしてるわ。兄さんがロイド男爵に仕えてるのは本当に出世してるわ。ロイド子爵が早く死んでくれたらいいのに、そうすれば男爵様が子爵の称号と荘園を継げるわ。兄さんは子爵の付き人男僕になり、私は子爵夫人の付き人女中になる。私たちの良い時代が来るわ、もう苦しい生活をしなくていいの。」

私はジャスミンの肩を抱き、軽く彼女を叩いた。私たち兄妹は苦しい生活に慣れていたが、父が去ってからは、貧しい生活がさらに厳しくなっていた。

「私が王都に来る前、母はまだ父の消息を探るように言ってたの。本当にバカみたい……」ジャスミンは冷ややかに笑い、また文句を言った。「それに私の給料まで全部取って、酒を買いに行くの。このままじゃ、もう帰るつもりはないわ。」

「心配するな。」私は慰めるように言った。「私が彼女にお金を渡すよ。」

「兄さん、どうしてあの人にそんなに優しくするの？あの人は私たちの死活なんて全然気にしないで、酒ばかり飲んでるじゃない。」ジャスミンは不満そうに言った。

「そうじゃない。彼女がいるからこそ、私たちは生き延びられたんだ。もし彼女も父さんのように一去不復返だったら、私たち兄妹は今どこにいるだろう？」私はため息をついた。「これまでは私もわからなかった。でも……」

私はジャスミンに説教はしなかった。彼女はまだ15歳の少女だ。私自身も前世では自分のことしか考えず、母や妹たちのことなど全く気にしていなかったのだから。

私はジャスミンを抱きしめ、優しく言った。「ごめんね、兄さんはちゃんと面倒を見てあげられなかった。」

「そんなことないよ。」ジャスミンはぶつくさ言った。「家の食糧は全部兄さんが買ってくれたんだ。兄さんがいなかったら、私たちとっくに餓死してたわ。」