第24章

間もなく、ローレンの付き人パメラがジャスミンを呼びに来た。

「トーカー、ローレン・ロイド様がお会いになりたいそうです。」パメラは私に言った。

私はジャスミンと目を合わせ、それからパメラについてローレンの寝室へ向かった。部屋は明らかに騒動の直後で、割れた花瓶やティーカップが散らばっており、ローレンの頬にはまだ涙の跡が残っていた。

「あら、ごめんなさい、こんなに散らかっていて。」彼女は悲しそうに言った。

「お嬢様、何かあったのですか？」彼女がわざとこんな状況を見せたのなら、私も協力しないわけにはいかない。

「またフレイヤ・ロイド様です！」意外にも、ジャスミンがローレンの肩を持ち、憤慨して言った。「フレイヤ・ロイド様はいつもローレン・ロイド様をいじめるんです。」

「黙りなさい、ジャスミン。フレイヤを責めてはいけません。」ローレンは涙を拭い、優しい口調で言った。「姉様はあの不祥事以来気分が優れないの。取り越し苦労するのも無理はないわ。私は姉様を責めたりしません。」

前世の私なら、きっとこのお嬢様の善良さと寛容さに感動しただろう。だが今は、彼女の演技力にはただ感嘆するばかりで、彼女の涙はいつでも流せるほど、劇場の役者以上に見事だ。それに、彼女がこの芝居を打つのは、おそらく私を通じて男爵に何かを伝えたいからだろう。

「男爵様は相変わらず毎日乗馬なさっていますか？」ローレンが尋ねた。

「はい、お嬢様。」

「最近はどんな本をお読みになっていますか？」

「法律関係の本です。残念ながら私は字が読めません。」ローレンの目には一瞬不満と軽蔑が浮かんだが、顔は優しく微笑んでいた。「トーカーも字を覚えた方がいいわ。男爵様の付き人になるのは簡単なことじゃありませんから。」

「おっしゃる通りです、お嬢様。」私は会釈して答えた。

「男爵様は王都に親しい女性がいらっしゃいますか？」彼女は顔を赤らめながらこの質問をし、はにかんだ様子はあのリリアンナとそっくりだった。

「はい。」私はうなずいた。「伯爵令嬢の方と男爵様はとてもお話が弾んでいるようです。」

「伯爵……」ローレンは眉をひそめた。「どちらの伯爵です？」

「ジェラール伯爵です。そういえば、この方は間もなくマイルズ荘にお越しになる予定です。」

数日後、ジェラール伯爵の馬車が到着し、同行していたのは娘のリリアンナだった。リリアンナはとても教養があり、評判の落ちた子爵家に対しても眉一つ動かさず、非常に礼儀正しく会話を始めた。

賢い女同士の争いは往々にして目立たず、男たちは時に全く気づかない。気づいたとしても、彼らはそれを冗談と捉える。なぜなら、彼らにとっては女同士の駆け引きよりも重要な話題があるからだ。

ジェラール伯爵は着席するやいなや、急いで口を開いた。「私は新しい航路の綿花貿易に関する重要な投資に参加する予定で、今回は特にあなたの助けを求めに来たのです。」

「おお、海上貿易の投資か。」男爵が口を開く前に、ロイド子爵がさえぎるように口を挟んだ。「新航路のことか？私も聞いたよ、以前投資した人たちは大儲けしたそうだ。これはいいチャンスだ……」

「伯爵様、書斎で話しましょう。」男爵は立ち上がって言った。

「そうだ、書斎で話そう。」伯爵はここが仕事の話をする場所ではないと気づき、皆に別れを告げて男爵と共に応接間を後にした。

ロイド子爵の顔色が一瞬で曇ったが、彼はまだ書斎にまでついていくほどの厚かましさはなかった。書斎に同行できるのは、紅茶を運ぶこの僕だけである。応接間を出る前に、私はロイド子爵から意味深な視線を投げかけられたのを感じ取った。

書斎では、ジェラール伯爵が興奮しながら自分の意見を述べていた。「モートン氏の提案には興味があるが、今は手元が苦しい。あなたの支援が必要だ」彼は全く顔色も変えずに言った。

「あのモートン氏があなたに投資を頼みに行ったのですか？」男爵は眉をひそめ、明らかに不機嫌そうだった。

「彼が以前あなたに頼んで、あなたが投資を断ったことは知っている。だが、今回の新艦隊の編成には王室も関わっており、国がこの新航路を開拓しようとしている。国の後ろ盾があれば、絶対に損はしない」ジェラール伯爵は熱っぽく語った。

「そうであっても、慎重に進めるべきだと思う」男爵はゆっくりと答えた。

「お金を儲けたいなら、びくびくしていてはいけない」ジェラール伯爵は言った。「心配するな、資金が回収でき次第、必ず借金を返すから」

伯爵の強い態度か、王室の関与か、男爵は今回は珍しく拒否しなかった。彼は快くジェラール伯爵に小切手を書き、ジェラール伯爵は借用書を書いた。

「よし、君、こんなに気前よくしてくれてありがとう。君は本当にさっぱりした男だ」伯爵は嬉しそうに小切手を受け取り、すぐに立ち上がった。「外で女性たちと一緒に座ろう。トランプをしたり、酒を飲んだり。君はいつも書斎に閉じこもっているが、退屈ではないのか？」

「お先にどうぞ、私はすぐに参ります」男爵は微笑んで会釈した。

伯爵が去った後、男爵は軽くため息をついた。「今回は大金を失いそうだ」先ほど、彼は伯爵に5万ポンドの小切手を渡していた。お盆を運ぶこの僕でさえ、呆然としてしまった。

「どうした？不思議か？損すると分かっていながら、なぜ金を貸したのか？」男爵は笑った。「私はこの伯爵様と付き合いが長く、彼の借用書をたくさん握っている。投資が無駄にならないことを願うよ。彼が破産する日になって、やっと元手が回収できる」

「旦那様、どうして損失が確定していると言えるのですか？伯爵様はとても自信があるようでしたし、王室の関与もあると言っていました」私は興味深そうに尋ねた。

男爵は立ち上がり、窓辺に行き、静かに冷たいガラス窓に手を触れた。彼はゆっくりと言った。「伯爵様の自信はこのガラスのようだ。明るく見えるが、実は脆い。彼らは利益だけを追い求める人たちで、じっくり考える時間さえ持っていない」

「この計画が実現するかどうかはさておき、最近我が国と植民地の関係はますます悪化している。印紙税の問題で上院は大騒ぎだ」男爵は低い声で言った。

この言葉で私は遠い記憶を思い出した。この年、あるいは半年後、数ヶ月後に、北アメリカの植民地で独立戦争が勃発する。「もし戦争が起これば、王室の関与など軍事目的のためだけだろう。すべての投資は泡となる」男爵は首を振り、ため息をついた。「哀れなことに、これらの愚か者たちはまだ夢中で飛び込んでいる」

男爵が私に話したことはすべて非常に個人的な内容で、彼がこんなに重要な情報を私に明かすとは思わなかった。「そういえば」男爵は突然言った。「昨日、君が家族に会いたがっていると聞いたが、君の母親と弟妹をマイルズ荘に呼び寄せようか？ベイカー荘の税金は高く、彼女たちの生活は苦しいだろう」

私は心の中で少し動揺した。何気なく言った一言を彼が覚えていてくれたとは。しかし、私は首を振るしかなかった：「母はベイカー荘を離れないでしょう。ずっと父の帰りを待っているんです。」

「そうだったのか。」男爵はため息をついた。「機会があれば、私も探す手伝いをしよう。」

「ご厚意に感謝いたします。」私はそう返した。

男爵は少し躊躇してから尋ねた：「昨日教えたソネット、理解できたか？」

「はい、理解できました。」私は頷いた。

「実はただの暇つぶしだ。あまり気にすることはない。昨日窓から見たが、君は夜遅くまで本を読んでいた。真夜中の12時になってもまだ明かりを消していなかった。朝は6時前に起きるのだろう？疲れないのか？」

「私の部屋の窓がどれかご存知だったんですか？」思わず聞いてしまった。

男爵は少し頬を染めて答えた：「使用人部屋の明かりは全て消えていた。あの明かりの窓が君だろうと思ったのだ。」

私も思わず顔を赤らめ、「気をつけます……」と頷いた。

「それでは……後で会おう。夜にまた前回のレッスンを続けよう。」男爵は私の返答を待たず、急いで部屋を出て行った。

私は書斎でぼんやりと長い間立ち尽くし、馬鹿みたいな気分だった。階下に戻ると、ロイド子爵が私を待ち伏せしていた。彼は私を人目につかない隅に呼び、微笑みながら言った。「よくやった。甥は君を信頼しているようだな。」

私は恐縮しながら答えた：「全ては子爵様のおかげです。ロイド男爵様の元に送っていただかなければ、こんな出世の機会もありませんでした。」子爵は満足そうに頷き、「良し、良し。賢い子だ。さて、彼らは何を話していた？」

私は慎重そうに周りを見回し、小声で事細かに報告した。「まさか！伯爵が王室の関与を言っただと！」子爵の目が興奮で大きく見開かれた。

「はい、ロイド男爵様は伯爵に5万ポンドの小切手を渡しました。」

「5万ポンド！」子爵は胸に手を当て、信じられないという表情で「あいつは本当に金持ちだな！君は間違えていないだろうな？」

「真実を申し上げています。お疑いなら、銀行に問い合わせてみてください。内部の者ならこの金の出所を知っているはずです。」

「分かった、調べてみよう。」子爵は少し動揺しているようだった。私はこの投資が大儲けできる理由を全て明確に説明し、さらに王室の関与という保証があるのだから、損をするはずがないと説得した。何より、男爵自身が5万ポンドも投入しているのだから、損するわけがないだろう？

子爵の目がきらめくのを見て、私は心の中で笑い、お辞儀をして言った：「子爵様、他にご用がなければ……」

「よし、行ってよい。今後ここで何かあれば、すぐに私に知らせよ。」

「かしこまりました。」

居間に着くと、ローレンが歌おうとしており、伴奏はなんとオースティンだった。「ああ、愛する人よ、あなたは遠い戦場へ。戦火と硝煙の中、私はずっとあなたを想っている。ああ、愛する人よ、あなたが残してくれた櫛を胸にしまい、毎日あなたの好きだった髪を整えている……」

ローレンの声はとても甘く、柔らかな綿のように人の心を和ませた。しかし、私は少し理解できなかった。男爵と仲の良かったリリアンナは硬い表情でソファに座っており、フレイヤは姿も見えなかった。一方、子爵夫人は微笑みながらローレンと男爵の共演を満足そうに見つめ、時折軽く拍手をしていた。

「素晴らしい共演だわ。この美しい物語に感動して泣きそうになったわ。」子爵夫人は目を拭いながら感慨深げに言った。

「私はただ、男爵様がオーストリアの民謡もお好きだとは思いませんでした。」ローレンは照れくさそうに答え、「私の歌は下手ですので、どうかお許しください。」

「いや、ローレン、君の歌声はとても美しい。」

「お褒めいただき光栄です。男爵様のピアノこそ最も心に響きます。」ローレンは男爵に情熱的な眼差しを向け、ゆっくりと頭を垂れ、白い首筋を見せた。私は思わず拳を握り締めた。この女は本当にすごい、男を誘惑する手口は私の前世と全く同じだ。再び男爵を見ると、彼は微笑んで彼女にうなずいていた。